関西ライターズリビングルーム

文章で生きる達人に訊く「仕事術」

「関西ライターズリビングルームオンライン!」第八夜、2021年2月24日(水)に無事終了しました。ゲストは爆速ライターの中将タカノリさん

 

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Zoomを使ったライターのオンライン勉強会「関西ライターズリビングルームオンライン!」第八夜、2021年2月24日(水)に無事終了しました。

 

今回もたっくさんのご視聴をいただき、ありがとうございます!

 

第八夜のスポットライターは「爆速」納品で知られる中将タカノリさん

 

テーマは、いい記事を「速く」「たくさん」書く方法

 

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最低でも月に50本以上、多い月で80本超を納品する中将さん

 

「一日に10は書けないけれど、8,9本ならあります

 

1日に9本……。

私など一本も書き上らないのに(冷や汗)。

もはやレーサーと呼んで大げさではないライターさんなのです。

 

「月50本って普通じゃない? 私だって50本以上、書いてますよ」

そんなライターさんも少なくはないでしょう。

 

しかし中将さんの速さは質が違います

そのほとんどが取材記事。

しかも「あるできごとが起きてから、翌日にはもう取材記事を納品している」、そういう速さ。

 

 

単にタイピングが速いだけではない。

インプットとアウトプットの速度、情報受信力の強さ、フットワークの軽さがケタ違いなのです。

 

中将さんには、ふたつの顔があります。

ひとつはシンガーソングライター。

もうひとつはライター。

 

2005年にアーティストデビューを果たした中将さん。

2012年からライター業をスタートさせた背景には、自分を見出してくれたリンド&リンダースの加賀テツヤ氏の逝去がありました。

「いつか師の功績を書き遺したい」

そういった想いからライター業をはじめたのだそう。

 

アーティストとして取材を受けていたためライティングの行程を理解していた中将さん。

愛読していたWebメディア「ガジェット通信」や、ライター募集をしていた「オールアバウト」の門を叩きます。

いまや「週刊朝日」に継続執筆をする人気ライターの中将さんですが、最初の一歩はコネクションがなくても果敢に飛び込む勇気がもたらしたものでした。

やっぱり営業をかけるのって本当、大事なんですよね。

 

中将さんが記事のライティングにかける時間は「素材が揃っている状態ならば、一本20~30分

 

い、一本30分!?

 

「先にある程度、形式をつくっているんです。そして書く際は『表現の無駄を省いていこう』『インタビューした人の話が引き立つように』を心掛けています」

 

中将さんは、原稿が「美しくなるように」書くのだそう。

そういう観点、自分にはなかったですね。

確かに、文章がうまい人には美意識がある。

 

思えば中将さんは日ごろから歌詞を書いています。

何万文字にも至る想いを数百文字に削り落とす訓練をしている。

中将さんの原稿がリズミカルで、すっきり端的であるのは、ほぼ3分台のポップスの世界で闘ってきたたまものなのでしょうね。

 

先に形式をつくる作業も大事。

ルーティンワークってよくないニュアンスで使われるケースが多い。

けれども型にはめてゆくのは、実はいいものを仕上げるために大切なおこない。

老舗の和菓子店だって木型があります。

木型があるからこそ美しい和菓子がたくさんつくれるわけです。

 

スマホでも原稿を書く(しかもフリック入力ではなくタイピングで!)中将さん。

取材の申込の際に「一通目のメールからもう質問事項を並べる」など作業効率の向上につとめます(いやあ、このお話、ビックリしましたね)。

 

そして原稿を多産するため、メリハリが効いた生活を心がけています。

しっかり眠って「気合いがみなぎる時間をつくる」

「午後5時から飲みに行くと決めて、それまでに書きあげてしまう」

「取材に出かけた日は、もう書かない」

睡眠、ゴールの設定、すぱっと「やらない時間」をもつ切り替えの重要性を改めて感じ入りました。

 

そしてなにより、いい記事を「速く」「たくさん」書くためには「なぜそうしなければならないのか」、その理由が明確であるかが重要なのだと感じ入りました。

 

「関西在住のアーティストは、名前を全国に広めるのが難しい。記事というかたちでメッセージを全国の読者で伝えられるという見本に、自分自身がなれれば」

 

中将さんが記事をたくさん書くのは、メディアと関西のアーティストを橋渡ししたい、アーティストのための新たな活路を切り拓きたい、そんな想いがあるからこそ。

 

中将さんの言葉を受け、僕は「あなたはなぜライティングをするの?」と、根源的な問いされたように感じました